工場火災を回避し、ダウンタイムを削減:サーモグラフィが国際的な生産ラインを保護する仕組み


国際エネルギー機関(IEA)によると、ネットゼロという野心的な世界目標を達成するためには、2050年までにさらに20億台のEVを普及させる必要があります。環境に優しいこれらのモーターに電力を供給するには、リチウムイオンバッテリーが絶対に不可欠です。
でも、そうしたバッテリーに欠陥があった場合、どうなるでしょうか? 牽引用バッテリーは、実際に作動するエンジンに組み込まれる前であっても、少量の充電状態で輸送されるのが一般的です。完全に放電したバッテリーは、メーカーと消費者の双方に問題を引き起こすからです。容量の低下、消耗の速さ、そして火災の原因になりかねない電気ショートなどの問題です。
予期せぬ発火は、サプライチェーンのどこで発生するかにかかわらず、人命、車両、輸送インフラに壊滅的な損害をもたらす可能性があります。
世界のセンサー製造業界のマーケットリーダーであるSICK AGは、リスクのあるバッテリーを検出するシステムを開発しました。このシステムは、バッテリー火災による深刻な被害を未然に防止するのに役立ちます。
SICK AGは、スイスにある全長10.5マイルのゴッタルド道路トンネルなど、輸送インフラに不可欠なフェリーやトンネル内のホットスポットや火災の危険性を検出するシステムの開発に成功した会社です。同社は最近、とりわけ厳しい期限ながら、刺激的な機会を提示されました。
あるドイツの自動車メーカーから、新しい組立ラインでEVバッテリーの潜在的な問題を検出してほしいという依頼がありました。具体的に言うと、バッテリー生産における熱暴走を特定するためのインターフェースを、わずか3か月で設計、テスト、実装するという課題でした。同社によれば、これは通常、完了まで1年以上かかるプロセスです。
そのためSICK AGは、このタスクに最適なサーモグラフィ技術の提供をFlirに求めました。
このシステムでは、各バッテリーにおける熱暴走の有無を正確にテストし、異常が見つかった場合、サーバーにそのデータをエクスポートして送信し、相互参照や分析を行える専用のインターフェースが必要でした。
SICK AGは、この最先端のシステムで検出すべきホットスポットの規模を慎重に検討した結果、新しいArea Hotspot Detection System(AHD)を、Flir A70スマートセンサー固定型サーモグラフィカメラを中心に構築することを選択しました。
欠陥品のバッテリー1個で、メーカーはどれほどの損害を被ることになるのでしょうか?
SICK AGの製品/プロジェクトマネージャーであるルーカス・ワリマンが、自動車製造におけるこのシステムの重要性について説明します。

「ここでいう危険とは、単に個々のバッテリーではなく、施設全体の危険です。たった1つの欠陥ユニットでも、非常に高価な自動車に修復不可能な損害を与え、組立ラインを出る前に廃車にしてしまう可能性があります。
「さらに最悪なのは、火災で生産が中断された場合、数百万ポンド相当の貴重な機械が工場内で遊休状態になってしまうことです。生産ラインや工場全体に損害が出るだけでは済まず、工場が稼働を停止すれば1時間ごとに数千ポンドもの損失が発生する可能性もあります。」
メーカーに安心感を与え、EVバッテリーの生産と実装を可能な限り安全に行えるようにするために、AHDは他の検査方法を上回る能力で、生産ライン上のすべての部品を正確にチェックします。
バッテリー部品の温度を一度に1つずつしか分離・測定できないレーザーサーモグラフィなどの従来の検査方法とは異なり、Flir A70は、赤外線画像によってAHDが各バッテリーのあらゆる要素を明確に捉えられるようにします。これによりAHDは、バッテリーがFlir A70サーモグラフィカメラの下をリアルタイムで通過する際に、熱の測定値が高くなっている部分があればそれを確認できます。潜在的な問題が見られた場合、このシステムはスタッフに警告を発し、許容される温度閾値を上回るユニットがすばやくラインから除外され、確実に中和されるようにします。こうして物理的な損害や評判の失墜を未然に防ぎます。
短い納期にもかかわらず、SICK AGはさまざまなシステムと統合できる汎用性の高いセンサーシステムを開発し、Flir A70の機能を事実上あらゆる環境にもたらすことに成功しました。
顧客が提示した要件は、このシステムがProfiNet(産業用イーサネットにおけるデータ通信の技術標準)を介して通信すること、データを分析のためリモートで保存・共有することでした。AHDシステムは、本来なら廃棄しなくていい在庫が廃棄される可能性のある完全自動化プロセスとは異なり、人間のオペレーターが継続的に関与して、状況に基づいてデータ主導の意思決定を行えるよう、情報へのリアルタイムアクセスを提供します。
このシステムは、TCP/IPインターフェースを介して上位システムに統合することも可能です。また、ProfiNetおよびI/Oインターフェースを備えているため、旧来のシステムにも統合可能であり、古い生産ラインを改修して最新化するためのレトロフィットに最適です。

「Flir A70カメラは非常によく出来ていて、自動車製造などの産業環境での使用に最適です」と、ルーカス・ワリマンは付け加えます。「筐体は頑丈で、センサーは使いやすく直感的です。手に取ってみると、高品質な製品だと実感できます。
「ハードウェア以外で、私たちにとって最大のメリットだったのは、開発期間からアプリケーションエンジニアリングに至るまでFlirからサポートが得られたことでした。技術的な問題や統合に関する問い合わせに、いつでも対応してくれました。おかげで大変な作業がずっと楽になりました。」
SICK AGのArea Hotspot Detection Systemは、現在購入可能です。