熱監視を導入して11%の保険料引下げに成功


コロケーションプロバイダー各社は、過酷な競争を強いられています。電力コストや不動産コストに加え、継続的なインフラ投資に伴う資本需要によって、利益率が圧迫されています。保険料については、営業経費の中で重要な項目であるにもかかわらず、十分な検討が行われていない場合が少なくありません。
これからご紹介するコロケーションプロバイダーの場合、多様なテナントにサービスを提供する一連の施設を運営していました。同社の施設管理チームは、NFPA 70Bのコンプライアンス要件に基づく定期的な電気設備の点検のため、ハンドヘルド型のサーマルカメラを数年にわたって使用してきました。
AI関連のワークロードがポートフォリオに含まれるようになるにつれ、エンジニアリングチームは、四半期ごとに行っていた従来の点検プログラム(主要な電気インフラを対象に、ハンドヘルド型の機器で行う調査)では、保護対象である資産のリスクプロファイルにもはや対応しきれないと認識しました。ラック密度は増加する一方でした。電力インフラへの負荷が高まっていました。
事業者としては、保険会社が規定する要件を満たすとともに、節約される保険料の金額に比べて費用対効果の高い解決策が必要でした。
Flirは、この事業者の施設管理チームおよびリスク管理チームと協力して、A700シリーズ固定カメラを中心とする連続監視プログラムを設計し、事業者が運営する主要施設の電気インフラ全体に設置しました。
このシステムは、連続的な温度監視と自動アラート通知を行うように構成されています。その閾値は、各設置場所における特定の機器の動作パラメータに基づき、施設管理チームと協議の上で設定されました。発生するアラートは、施設管理プラットフォームおよび待機中のエンジニアリングチームに送信され、発生時刻にかかわらず、あらゆる異常が適切な担当者に適切なタイミングで確実に認識される体制が整えられました。
また、Flirは、監視範囲、アラート設定、システムパラメータを詳述した正式な導入報告書を事業者に提出しました。このドキュメントは、保険会社が連続監視プログラムを評価する際に求められる証拠要件を満たすよう、特別に作成されたものです。事業者が次回の契約更新時に保険会社に提示したこのドキュメントは、その後の商談の基盤を形成しました。
契約更新に際して、保険会社は連続的な熱監視プログラムを、重要なリスク低減要因として認めました。具体的には、最もリスクの高い電気設備について、四半期ごとの点検方式から、24時間体制の自動監視へ移行した点です。その結果、事業者の主要な財産・設備補償契約の年間保険料が、11%引き下げられました。
このレベルの規模のコロケーション施設で、この削減率は、年間換算するとFlir導入にかかる総コストの相当な割合を占めるほどのコスト削減になります。故障の早期発見による運用上のメリットを除外して、保険料の削減分のみを基準に試算しても、監視システムの投資回収に要する期間は、2年を大幅に下回っていました。
運用上のメリットは、さらに大きい利益をもたらしました。導入後12ヵ月の間に、このシステムから電気設備に関する3件のアラートが発生しました。その後の点検の結果、これらの設備には不具合の兆候が生じていることが確認されました。これらの不具合のうち2つは、通常の四半期ごとの目視点検では発見されない段階にありました。1つの不具合について、エンジニアリングチームは、もしそれが故障に至っていた場合には、部分的な負荷損失を引き起こす可能性があったと評価しました。影響を受けるテナントとのSLA上の取り決めを考慮すれば、多大な金銭的損失や信用の失墜を招く結果となっていたはずの事態です。
この事業者は現在、この監視プログラムを残りの施設にも拡大したほか、新設する施設の設計基準にも連続的な熱監視を標準仕様として組み込んでいます。こうした判断は、保険コストの経済的合理性と同様に、同プログラムが実地運用を通じて証明した運用リスク低減効果に基づいています。